初めての外界
幼稚園
とにかく恐怖
周りの子たちがみんな
自信満々に見える
私は目立たないように
隣りの子たちと何話していいかもわからない
みんなで椿の花を作ろう
椿の花びら4枚の形の色画用紙
椿の花ってどんなだっけ
4枚が大きく花開くように糊付け
同じように作って、先に先生に持ってった女の子が、「こんなじゃないって!」
(え?)わたし、間違っちゃった?
続々と先生にお直ししてもらいに行く子たち
(わ、私も行かないとダメかな)
最後の方で恐る恐る持ってった私の椿の花びらの糊付け部分を、黙って「ビリッ」っと破って私に突き返す先生。
(あ、先生怒ってる。ちゃんと話聞いてなかったからダメだったのかな。勝手に作ったからダメだったのかな。私のを見て同じに作った子は、「あの子がこんなふうに間違って作ったんだよ!」って私の事を責めてるんだろうな。)
元々目立たないように小さく存在していた私がもっと小さくなる。
壁に貼られた大きな木に、みんなが作った椿の花が咲いてる。
私の椿は、隣どうしの花びらをギリギリに貼って、1か所だけ先生が破ったところを精一杯内側に貼ったから、なんか歪な形してる。
私が作った椿、変だな
「あれ、変な椿ー!誰が作ったの?」って言われたら、私だってバレたらどうしよう。
大きな木に咲いている椿の中で、花びらいっぱいいっぱい広がって咲いているのがある。
(あんなふうに作ろうと思ったのに)
(あの椿を作った子はOKで私のはダメだったんだ。なんでだろう?)
(今度からみんなが作ってるの見ながら作ったらいいのかな。)
(この世界で上手く生きてくのは難しいな)
この世界が恐くて恐くて仕方ないあの頃の私を抱きしめて言おう。
自分で考えて作ったんだね!
きれいな椿の花だね!
みんなと違うけど、先生が違うって言うけど、
違わなくないよ!
これでいいんだよ
恐かったね。
頑張ったね。
そのままでいいんだよ
そのままでいいんだよ